歯の基礎知識やよくある質問、歯の磨き方までちょっと気になる歯の疑問を解決!

  • エナメル質

    体の中で最も硬い組織。即ち石の様なもので死んでいる組織ともいえます。水晶よりもやや硬く、厚さは2〜3mmで、この厚みは場所によって異なります。「むし歯菌」の造る強力な酸によってエナメル質は脱灰される、つまり歯に穴が開いてしまいます。フッ素塗布はこのエナメル質を強化するのでむし歯予防に有効といえます。又初期のむし歯は清掃を十分に行いレ−ザ−処置やフッ素塗布をすることで進行が止まったり元に戻ったりすることも有ります。特にむし歯予防では隣接面の予防が不可欠で、それにはデンタルフロスが一番有効な武器となります。

  • 象牙質

    エナメル質と違って象牙質は生きています。ストロ−の様な細い管が歯髄側から外側に向かって多数放射状に走っているのです。これを象牙細管と言い、この象牙細管の中に象牙芽細胞の突起と液体が入っていて、歯髄から養分の供給を受けます。歯の大部分はこの象牙質によって構成されています。しかしエナメル質よりは相当軟らかいので、エナメル質を突破したむし歯(歯が溶けること)は象牙質に入ると急に進行が速くなります。でも歯髄に最接近するか歯髄に達するまでは痛みは生じません。つまり、むし歯は痛くはないのです。痛くなったら歯髄の病気 「歯髄炎」であるということですね。

  • 歯髄

    神経といわれていますが神経ではなく歯髄といいます。 この内容は絶対に理解してください!
    象牙質に養分を供給している毛細血管(動、静脈)の集合体で構成される組織。当然神経組織も入っているため、一般的には「神経」と呼ばれることが多いですね。歯に穴が開き歯髄まで到達するとお水やお湯、甘いもの酸っぱいものが歯にしみます。そしてもう少し時間が経つとズキズキと痛んできます。むし歯が痛いとはまさにこの歯髄が痛いという状況なのです。
    歯髄をとってしまえばもう象牙質には養分は供給されません。つまり象牙質も死んだ組織になるわけです。歯髄を失うことにより歯がもろくなって欠けやすくなり、歯髄を処置した歯を放置すると細菌の最良の住み家となってしまうので徹底的な閉鎖処置が必要です。この治療を根の治療と呼び、歯科医の確かな技術と十分な時間が必要です。治療後にレントゲン写真を撮ると治療が上手く行ったかどうかが良く判ります。できるだけ歯髄を失わない様にしましょう。

  • 歯肉溝

    歯が植わっている歯槽骨を覆い 皮膚の役目をするのが歯肉です。
    歯肉は歯に付着しているのですが、内側に歯肉が折れ曲がって付着する為「溝」が生じます。この溝を歯肉溝と言い、深さは正常時1〜2mm。
    溝が有ればそこが「ばい菌」の居心地の良い住み家となり、異常に繁殖し、多量の生活廃水を垂れ流す様になります。その為、歯と歯肉との付着が剥がされて徐々に溝が深くなっていくようになります。つまり3mm以上になると歯周ポケットと呼び名が変わり5mm以上になってしまうと外科的処置の対象となってしまいます。5mm以下でも出血があれば要注意!危険信号です。歯の予防とはこの歯肉溝を徹底的に清掃することなのです。

  • 歯槽骨

    歯ざわりのセンサーが入っているところって知っていた?
    セメント質と歯槽骨を結ぶ繊維性結合組織。厚さは0.15〜0.38mmで舫い(もやい)の役割の他にクッションの役目もします。ですから、ここが元気であれば、しっかりと噛みしめても痛くありません。歯槽骨の中にある歯槽神経の端末器が歯根膜の繊維と結合したり直接接している為、「歯触り」を感じそれをダイレクトに脳に伝達します。ということは総入れ歯では「歯触り」を感じることは出来ず、「歯肉触り」になってしまい 食べ物の微妙な感触が判らなくなってしまいます。

  • セメント質

    冠をつけるセメントとは違います!
    歯根の象牙質の表面を覆っている薄くて硬い組織。ここから歯槽骨に向かって舫い(もやい)の役目を果たす歯根膜が出発する基地です。でも歯肉溝の下で歯と付いている部分が剥がれ露出するとこのセメント質も死んでいき、その後には歯石が残ります そうなった場合は専門家による根の徹底的な清掃と処置が必要となります。

 

歯の基礎知識

  • 歯の寿命って?

    最近の統計では、最も平均寿命の長い歯は下顎(したあご)の犬歯(けんし)や切歯(せっし)で、歯(永久歯)が生えてから約63年です。また、最も寿命の短い歯は、下顎の第二大臼歯(だいにだいきゅうし)で約45年です。女性の歯の寿命は、男性よりも短いようです。
    しかしこれらは管理ができずに虫歯や歯周病に罹った歯です。健康な歯は唯一磨り減ることによって(ごくまれに破折もありますがこれは事故です)無くなるという現象が起こりますので、歯の寿命は120年といったところでしょうか。
    歯を失う原因の90%以上は、むし歯によって歯髄の喪失した歯の破折や根の病気、歯周炎を悪化させた場合、異常な力が常に歯にかかって歯を破折させたり歯槽骨を溶かしていく場合のいずれかです。これらを予防したり、バランスを常にチェックしていくことで、歯の寿命を伸ばすことができます。尚、予防とはそれ以上悪くしないことを意味します。

  • 歯が痛いときの応急処置の方法

    市販の痛み止めを飲んで早めに歯科を受診します。夜間などは歯科の救急病院が近くにあれば見てもらえます。腫れている場合は、タオルで包んだ氷やアイスノンなどで冷やしてください。

  • むし歯を予防する効果のある飲み物は?

    予防する飲み物よりも、むし歯を作りだす飲み物を知りましょう。歯は大理石と似たような成分でできていますので酸に弱いのです。ですから乳酸飲料やお酢、レモン汁は駄目ですね。また糖分が多く含まれている飲み物もバイ菌は大好きですから良くありません。
    ちなみに一日に必要な糖分は20g以下です。砂糖や菓子類は勿論のこと、果物にも果糖という糖類が多く含まれていますので注意して下さい。清涼飲料水は多い物で全体量の10%ほどが糖分で占められていますので、350ml.の清涼飲料水なら35gの糖分が含まれている計算になりますね。

  • むし歯治療が上手な歯科医院はどう見分ければいい?

    むし歯治療で一番肝心なことは何だと思いますか?
    それは第一にむし歯(つまり酸で侵された歯質)の部分を徹底的に除去すること、第二は除去したところを元通りに修復することの二つです。
    これらを可能にするためには、まず麻酔が良く効いている事、そしてむし歯の範囲を測定する器械(ダイアグノデント)を使って確認すること、さらにマイクロスコープという5倍から15倍くらいに歯を拡大して見える器械で十分に見ながら除去することが必要条件です。
    そして歯科医がそれらを使いこなせるような技術と判断力(経験)を持っていること、時間を十分かけられる事が必須条件ですね。でもその様な物を兼ね備えている歯医者は少ないようです。ちなみに、人の評判はあてにはなりません。念のため。

  • 歯を長持ちさせる秘訣は?

    家庭でのホームケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアが歯を長持ちさせるキーワードです。
    そこでホームケアーとプロフェッショナルケアーを簡単に説明しましょう。
    <ホームケア>
    ・口腔清掃
    歯ブラシ・デンタルフロス・歯間ブラシを上手に組み合わせて、より効果的なプラークコントロールをしましょう。 尚歯ブラシだけでは40%しかプラークは取りきれません。
    ・甘味制限
    プラークの形成に関わる甘いもの(特に砂糖)は、なるべく少なくしましょう。
    <プロフェッショナルケア>
    ・定期健診
    3ヶ月に1回はメンテナンスチェックを受けましょう。 但しこの場合はご自分の歯に関するデータを記録し、長期に保存してくれる医院で無ければ意味がありません。
    ・歯石除去・歯面研磨
    自分でどうしてもできない箇所や歯面や根面の滑択化(ツルツルにすること)歯科衛生士が行います。

歯の磨き方

  • 一生懸命歯を磨いているのにむし歯になるのは何故?

    歯は、正しくみがけていなければ、どんなに一生懸命みがいても意味がありません。歯みがきの目的は、お口の中から虫歯や歯周病の原因となるプラークを取り除くことです。歯垢はむし歯や歯周病を引き起こす、ばい菌の固まりです。放っておくと歯石となり、ますます歯垢がたまりやすくなるので、一回の歯みがきに「磨き残し」がないかなどを確認し、正しい歯みがきの仕方を身につけて下さい。

  • 歯はゴシゴシ強く磨いた方が効果的ですか?

    歯ブラシを歯に強く押し当てて、力任せにゴシゴシこするのは、誤ったみがき方です。歯ブラシの柄を強く持ち、歯に対して歯ブラシを強く押し当ててしまうと毛先が逃げてしまい、歯と歯の間、歯と歯茎の間をうまく磨くことができません。また、歯茎を傷つけてしまい、歯肉が縮退する原因にもなります。

  • 歯ブラシはどの種類を使用するのが良いですか?

    ●歯ブラシはあまり大きくないものを
    ブラシの植毛部が大きすぎると、口の中でこまかく動かせません。歯のすみずみ、とくに奥歯の方まで届く大きさのものを使ってください。
    ●毛質はナイロン製が一般的
    豚毛は泡立ちがよく、歯ぐきにもやさしいのですが、柔らかすぎて歯垢をとるには向きません。ナイロン製は品質にムラがなく、衛生的です。
    ●硬さに気をつけて
    歯垢をとるには、硬めのものがよいのですが、歯に炎症が起きているときは柔らかめのものにし、治りぐあいによって徐々に硬いものに替えていきます。

  • 歯ブラシはどのように持つのが良いですか?

    歯ブラシの持ち方は、鉛筆(えんぴつ)と同様の持ち方が一般的ですが、みがきやすい自分流の持ち方でもかまいません。みがく部位によって、上手く歯ブラシが当たるように持ち方を工夫するのも良いでしょうか。歯ブラシの柄を強く握らず、やさしく柔らかく持つことがポイントです。

  • 歯はどんな磨き方が効果的?

    歯に対して直角(90度)になるように歯ブラシの毛先をあてます。
    まず、歯ブラシを正しい角度で歯にあて、それから歯ブラシを動かしていきます。歯ブラシの動かし方は、細かく左右に2mmから5mm程度振動させるようにし、同じ場所を20~30回程度みがいてください。
    歯は、一本一本湾曲したカーブを持っています。ですから、その湾曲に対して直角に歯ブラシの毛先があたるように心がけて下さい。磨く歯の部位によって、当てる毛先の部分を上手く使い分けるのが理想的です。
    歯と歯の間など、それでも歯ブラシが届かない部位には、歯間ブラシやデンタルフロスを使うと効果的です。

  • 一回の歯みがきにどれくらい時間をかければ良いですか?

    歯は、時間をかけて正しく磨く事が重要です。
    昔は「3分を目安に」とい言われていましたが、3分で全ての歯を完全に磨くことはできません。
    歯の一本一本を丁寧に磨いていくと、少なくとも10分はかかります。
    歯を磨く時間が退屈とお感じになる方は多いと思います。
    正しい磨き方が身についていれば、「テレビを見ながら」や「お風呂につかりながら」でも構いません。